議会報告ASSEMBLY REPORT

2009.05.19 カテゴリ:平成21年2月定例会 障害者の就労支援について

 アメリカのサブプライムローン問題に端を発する世界的な不況に我が国も飲み込まれ、派遣労働者の突然の派遣切りや正規労働者の解雇など、国民の労働環境は悪化の一途をたどっています。
 国においては、第二次補正予算の編成をはじめとする緊急対策が講じられ、県においても知事をトップとする緊急対策本部を設置されるとともに、当面の緊急雇用対策の取り組みを進められていると聞いています。
 しかしながら、障害者の就労については、通常の経済状況においても多くの困難がある中、現在のような状況においては、より一層その厳しさを増すものであることは想像に難しくないところです。
 安定した収入を得て、個人個人がしっかりとした経済基盤を築くことは、経済国家に生きる国民である以上、すべての国民にとって等しく重要であることは言うまでもありません。
 障害者の雇用については、厚生労働省は「障害者雇用対策」として、「障害者雇用促進法」のもと、事業主に対して一定割合の障害者雇用を義務付けるほか、障害者を受け入れるための助成金制度などを設けています。ところが、現実を見ますと、障害者の就労については、まだまだ大きな壁が立ちはだかっています。
 「障害」と言いましても、その状況は個人によって異なり、たとえ同じ部位の障害であっても、自力で出来る動作の範囲はそれぞれ違ってきます。
このように個々の状況が違うということは、障害者の雇用については本人の能力の問題だけでなく、事業所側の体制も大きく関わってくると思います。
例えば、車椅子利用の方の場合、建物内を階段で移動するのは困難ですが、エレベーターがあれば一人で簡単に移動できます。しかし、エレベーターのない建物の2階や3階に事務所を持つ事業所の場合、車椅子の方は出勤そのものが困難です。視覚障害の方にとっても、階段しかない場所を移動することには大きな危険が伴います。
 駐車場についても、身体障害者が車の乗り降りをするには通常よりも1台につき広いスペースが必要ですし、またトイレについては車椅子の方だけでなく、杖や補助具を使用しておられる方にとっても、洋式便座であることだけでなく、体を支えることが出来る手すりや、補助具を置けるスペース、入り口も車椅子で出入り出来るだけの広さが必要になってきます。
 これらの環境をどのように整えるのか。障害者を雇用する場合、従事する作業内容以前に、労働環境として設備をどう整えるかが事業所の課題になります。
 事業所としてバリアフリー化を検討していても、ただえさえ設備投資が厳しい昨今、事業所の負担は大きく、障害者雇用に意欲はあっても金銭的な面から一歩踏み出せない場合もあるかもしれません。交通事故や病気で突然障害を負った方が、会社側に障害者を受け入れる施設がないことを理由に解雇されたケースもあると聞きます。また、従業員が車椅子生活になっても、上半身に障害がない場合は経理や電話対応など事務職であれば十分可能だと考えられますが、やはりトイレや階段、作業スペースなど設備の問題から雇用を継続したくても難しいという事業主の声も聞いております。
 今日雇用している社員が明日も同じように健康であるとは限りません。病気で、事故で、いつ誰が障害者になってもおかしくはないのです。
 障害者の就労支援は、採用段階だけの問題ではありません。身体障害は私たち一人ひとりの問題でもあり、障害者の雇用問題はあらゆる労働者の課題であるといっても過言ではありません。
 障害者が安心して働ける環境づくりは障害者の就労支援においても最も優先される課題であり、すべての人が働きやすい環境づくりにつながると考えます。
また、障害者が多く従事する授産所や作業所においては、その収益性の極端な低さも課題となっています。生産性やコストの問題だけでなく、生産した商品の流通ルートがまだまだ限られていることも大きな原因であると考えます。
 販路を拡大させることにより収益が増大し、その利益が工賃に反映されれば、障害者の生きがいにもつながり、あらゆる人の能力を生かすことは地域経済の発展にも大きく寄与します。これらの事業促進、支援も雇用問題と同様に重要ではないでしょうか。
 そこで知事にお伺いします。障害者の雇用や就労は、国だけでなく、地域社会での大きな取り組みが必要な時期にきていると思います。
 雇用促進に向け、県として事業所に対し、どのような支援が必要と考えているのか。現在の障害者雇用の状況とあわせてお答えをお願いします。
 また、障害者への就労支援や、授産所などで生産した商品の販売ルートの確保など、工賃の引き上げへの支援についてどのような施策を進めようとしているのか伺います。

■荒井知事からの回答

 生活の実態に合わせて、障害者の対策を講じていくべきとの観点から、来年度予算におきまして、高齢者の生活実態と併せまして障害者の生活実態の調査を大々的に行おうかと思っております。障害者の生涯、生まれてから亡くなるまでの間の人生の各ステージの居場所をどのように作っていくのか、どのように用意すればいいのか、という観点から家庭、学校、授産所、地域での快適な居場所がないかということを求めて、実態の調査を行っていきたいと思っております。今後関係機関の連携の他、このような調査を通じて障害者の就労を含めた生活のあり方、そのサポートのあり方を追及していきたいと思います。
 障害者の就労支援の中で特に工賃の引き上げ支援についてのお尋ねがございました。障害者個人の方々への就労支援につきましては、就労施設等において就労に向けた訓練が行われておりますが、県としては、それらの福祉施設に対して、個々の障害者の状態に応じた適切な訓練が行われるよう実地指導や職員研修を実施しているところでございます。
 また、高等技術専門校におきまして知的障害者向けの販売業務の訓練コースを設けて、能力開発の支援を行っております。
 また、民間企業での職業実習をしたり就職をする場合に、障害者と受け入れ企業との調整や職場適応への助言などを行うジョブサポーターやジョブコーチを派遣する事業を国とともに行っております。ソフト的な事業でございます。
 また、企業への就労が困難な障害者におきまして、福祉施設等での就労がございますが、現在では、その工賃が平均月額1万円余りと非常に低いという問題がございます。そのため平成23年度に平均月額工賃を25,000円まで引き上げることを目標として、福祉施設等の共同発注・販路拡大への取組みをNPO法人と連携して支援を行っていきたいと考えております。
 新年度の予算に盛り込んでおる内容でございますが、工賃アップのための設備投資を行う福祉施設を助成する事業やアンテナショップなどで販売の支援を行われます、販売を行われます方々への支援を行う事業に取り組むことにしております。また県は、県下最大の事業所でもあることから、率先して障害者の就労支援に取り込む、促進すべきだと思っております。そのため、職場実習の受け入れ、障害者施設への優先発注や障害者を雇用する企業の優遇など、順次実行しておるところでございます。
 就労支援工賃アップについてもまだまだ課題、問題の質、量とも大変大きなものでございますが、県が率先して障害者の就労支援に積極的に取り組んでまいりたい、と考えておるところでございます。

前のページヘ戻る

松尾いさお事務所

TEL:0746-34-5221