議会報告ASSEMBLY REPORT

2009.05.19 カテゴリ:平成21年2月定例会 高齢者の介護サービスの基盤整備について

 高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして、介護保険制度が施行されて9年が経過しようとしています。
 この間、高齢化の進展に伴って介護を要する高齢者の数は年々増加し、介護を支えるサービスの基盤も一定の整備がなされてきました。
サービスを利用する高齢者の数も増加と同時にサービスを支える介護保険料も増加しており、今後の高齢者の増加を考えるとき、給付と負担のバランスをどのようにとっていくかが大きな課題となると考えられます。
 現在、各市町村では第四期の介護保険事業計画を、県ではその支援計画を策定中であると聞いておりますが、給付の伸びをどうするのか、保険料をどのように設定するのか、それぞれ頭を痛めておられることと思います。
 介護保険事業の財政面については、国の動向とあわせて、県と各市町村が一体となり取り組んでいかなければならない大きな課題であります。介護保険料や公費負担の増加は、県民全体の負担の増加にもつながります。
 急速に高齢化が進む昨今、財政面の問題と合わせ、介護サービス基盤の整備、充実が図られることが県民の切なる願いであると考えます。
 昨年、県福祉部長寿社会課が作成した「平成二十年度、高齢者福祉対策の概要」によりますと、高齢者(六十五歳以上)人口は、平成十六年には、二十七万二千九百六十八人(高齢化率18.8%)で、平成十八年には、二十九万四千百五十七人(高齢化率20.4%)と20%を超えています。
 平成二十六年には高齢者数は三十七万三千三十八人、高齢化率は26.3%に達するとされ、平成十八年時点では全国平均を下回るものの、今後は全国よりも速いペースで高齢化が進み、平成二十年には全国平均を上回ると見込まれているとの事です。
 さらに、平成二十六年には三十九市町村のうち半分以上の二十一市町村において高齢化率が30%を越え、このうち八町村は高齢化率が40%を上回ると予測されるとされています。このような中、高齢者福祉対策、介護サービスの基盤整備が今まで以上に急がれることは言うまでもありません。
 現在の県内の介護サービス事業の状況ですが、先ほどの「平成二十年度高齢者福祉対策の概要」によりますと、入所施設としては「特別養護老人ホーム」七十一施設、定員五千百六十六人、「介護老人保健施設」は三十八施設三千四百五十四人、認知症高齢者グループホームは八十九施設千二百六十八人、有料老人ホームは十六施設千五百九十四人など、通所施設としてはデイサービスセンター二百九十ヵ所、老人介護支援センター九十施設などとなっております。
 これら県内の様々な施設で、多くの方が介護事業に従事され、高齢化社会を支えておられることに敬意を表したいと思います。
 ところで、近年は特別養護老人ホームの利用を望む高齢者が増加しています。特別養護老人ホームは、「身体上又は精神上著しい障害があるため常時の介護を必要とし、かつ、家庭でこれを受けられない高齢者のための施設」とされていますが、核家族化の進行で一世帯あたりの家族層が減少していることもあり、高齢者の介護は家族にとっても大きな負担となっています。
 少子化で子どものいない世帯も増え、夫婦同士や六十五歳を過ぎた子供が八十歳以上の親を介護するなど、いわゆる高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も社会問題となっています。地域や家庭で高齢者を介護するには、やはり限界があり、一定の施設整備が必要であることと考えざるを得ません。
奈良県もその例外になく、特別養護老人ホームへの入所を希望する県下の待機者数は、五千人近くと聞いています。私の住んでいる吉野町でも、三町村組合立の特別養護老人ホーム「さくら苑」に入所を希望する方が多数待っておられる状況です。
 今後、県内でより入所希望者が増え、待機者が増加することは明らかです。個人の生活そのものを見る介護については、住民の日常生活を大切にした目線が何より求められ、受けられるサービス内容に地域で大きな差が生じるようなことがあってはなりません。
 「奈良県高齢者保健福祉計画・第三期介護保険事業支援計画」では、保健福祉サービスの水準の確保や介護保険の対象となるサービス量の目標を定めるための単位として、奈良・西和老人保健福祉圏、東和・中和老人保健福祉圏、南和老人保健福祉圏と3つの老人保健福祉圏域を設定しており、また「第四期介護保険事業支援計画」素案においても同じ圏域を設定しておりますが、東和・中和圏の香芝市や大和高田市と、御杖村や山添村では地域があまりにも離れ、また南和圏は吉野郡全域と五條市ですが、新興住宅を持つ大淀町や五條市と、さらに南部の地域では、住民の生活状況、買い物や通勤の生活圏もまったく異なります。
 介護サービスについては、地域の実情を何よりも考慮し、それに応じた基盤整備が必要であると考えますが、このような大まかな区分では、きめ細かいサービスは望めないと感じます。
 そこで福祉部長にお伺いします。第四期介護保険事業支援計画において、どのような根拠によりこの3つの老人福祉圏を設定され、その圏域設定のもと、介護サービスの基盤整備、特に特別養護老人ホームなどの施設整備はどのように取り組まれるのでしょうか。
 また、基盤整備を進めるためには、介護人材の確保が大切な要素になると考えます。介護施設の多くが「人手不足」と言われ、介護従事者の方の人件費の安さも大きな問題となっています。国の政策が左右する部分かとは思いますが、介護は医療と並んで県民の命を守る大切な事業です。介護従事者の処遇改善につなげるため、介護報酬も3%引き上げられることとなっていますが、介護従事者の育成や労働環境改善について、県として何らかの施策を検討されているのでしょうか。所見を伺います。

■福祉部長からの回答

 老人福祉圏域は、介護サービスの見込み量や広域的な施設の整備目標等を定めるための地域単位として、介護保険事業支援計画に設定しているところであります。
 本県の老人福祉圏域の設定に当りましては、保健・福祉・医療の連携を図るため、医療法に基づきます、奈良県二次保健医療圏の圏域を踏まえ、介護保険事業支援計画では、「奈良・西和」、「東和・中和」、「南和」の3圏域としているところであります。
 しかしながら、議員お述べのように、住む場所によって受けられるサービス内容に差が生じることは望ましくないとも思っております。このことから、来年度実施する「高齢者等の生活及び介護に関する実態調査」におきまして、高齢者やご家族のご意見も伺いながら、圏域のあり方や、身近でサービスが受けられるシステムについて検討してまいりたいと考えている。
 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設整備につきましては、現在入所希望者が多数おられることから、待機者の解消に向け、計画的な整備が必要と考えております。
 現在策定中の第4期介護保険事業支援計画におきましても、施設サービスの必要定員数が計上されていることから、県では、これをもとに、引き続き計画的に施設整備を進めてまいる所存であります。

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