議会報告ASSEMBLY REPORT

2010.02.25 カテゴリ:平成21年11月定例会 新型インフルエンザ対策について

 毎年、秋になりますと冬場のインフルエンザ流行に備え、いわゆる季節性インフルエンザのワクチン接種が始まりますが、新型が流行している今年も、季節性のインフルエンザワクチン接種については例年通り行われ、接種希望者の予約など医療機関は準備を行ってきました。しかし、新型インフルエンザが猛威をふるう今年、季節性インフルエンザも接種希望者が増加しています。希望者が増加しているにもかかわらず、その季節性のワクチンが、新型インフルエンザワクチン製造のため例年の8割程度の量しか供給されていないということで、圧倒的な供給不足になり、医療機関では希望する患者に対応できない、接種スケジュールが組めないという悲鳴が上がっています。新型インフルエンザワクチンについては、診療に基礎疾患を持つ人や妊婦など接種対象者に細やかな優先順位があり、またその供給量や接種方法をめぐっても情報が行き届いていません。日々問い合わせや接種希望者が殺到し、一方では患者が増えて外来診療が混みあうという状況の中、医療機関の作業が非常に煩雑になり手間がかかる事態となっています。新型、季節性双方ともワクチン不足が続いており、日々の診療現場は現在、まさにパニックになっているといっても過言ではありません。数量や入荷日など、ワクチン供給に関する詳細情報が入らないということで、医療機関の苛立もピークに達しているのが現状です。
 私の住む吉野郡でも、町立吉野病院で新型インフルエンザワクチンの接種希望者の予約を受け付けたのですが、接種日になってもワクチンが供給されず現場は大混乱でした。吉野病院に限らず、全国各地の市町村が公報などでワクチンの接種の予約日などを住民に知らせておきながら、いざ当日になってワクチンが入らないという自治体が続出しています。もっとも混乱するのは現場の医療機関と、そして住民なのです。供給量が定かでない段階で、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。ワクチン供給不足については連日報道も数多くなされており、私があえてここで長く述べる必要はないかと思いますが、これほどまで医療現場が混乱している根本原因は何よりも情報不足です。現場のお医者さんも、とにかく「情報がない」と言われます。そこでお伺いします。新型インフルエンザワクチン及び季節性インフルエンザワクチンの供給量や入荷日など、県としては厚生労働所からいつ、どのような形で指示を得たのでしょうか。
 また、どのような経路でワクチンを流通させ、自治体や医療機関に対してはどういった形で連絡しているのでしょうか。ワクチンの供給情報について、県医師会や地域医師会との連携はどのようにとられているのか。県立や市立の公的医療機関だけでなく、地域に密着し一人の医師が地域住民の健康管理を一手に引き受けているような個人病院も県下には数多くあります。これらの先生方に対しても情報伝達はどのように行われているのでしょうか。
 そして、季節性及び新型インフルエンザについて、奈良県として今確保できているワクチンの数量、今後の確保の見通しについてもお答えください。現在はワクチンだけでなく、治療薬のタミフルドライシロップやリレンザも不足していると言われています。タミフルやリレンザといった治療薬についても現在、県としてどれだけの量を備蓄されているのか、各市町村単位でも備蓄をしているのであれば、その量についてもお教えください。厚生労働省からの発表も曖昧な中、県関係者の皆さんも本当に苦労をされていることと拝察いたしますし、皆様のご尽力に重ねて敬意を表します。しかしながら今回のような事態については、当然ながら国に最大の責任があるとはいえ、上からの情報を待つのみではなく、こちらから情報を取りに行く努力は必要であると思います。厚生労働省から県への連絡はどのように行われ、また県ではどのように厚生労働省と交渉しておられるのか。新型インフルエンザは毎年行う季節性インフルエンザのような定例のものではなく、今年に限って言えば緊急接種に近いといえます。迅速な情報入手が求められる事態であり、県にも積極的な情報収集の姿勢を望みます。県民の窓口はあくまでも県であり、県の医療従事者がもっとも頼りにしているのも県からの情報です。各市町村および医師など医療関係団体との連携を密にし、どうか医療機関がこれ以上混乱に陥らないように情報網を整備し、正確な情報伝達を強くお願いします。
 特に、マスコミが発表する情報に医療機関も住民も振り回されています。わが県だけの問題ではありませんが、ワクチン接種についても行政の正式な発表がない段階で、マスコミ報道がなされた病院に問い合わせが殺到するような事態になっています。報道機関への情報提供体制にも厳しいルールを設けるなど、情報のミスリードが起こらないよう併せて努力をお願いします。そして情報提供の整備と同時に、県の体制作りも大切であると考えます。情報がこれだけ錯綜する中、県民だけでなく医療関係者も不安に陥り、特に医療関係者はワクチン接種や患者の診療を行うという責任ある立場にあり、より専門的で高度な情報を求めています。学術的な面や法的な部分においても、医療関係者は各医療機関の所在地を管轄する保健所や県の健康安全局など行政機関の情報を頼りにするでしょう。行政機関の中で、現場の医療者と同じ「医療者」の目線で、地域の医療者たちを支えていく体制が求められているかと思います。医療・保険行政においては、今回のように新しい病気の出現や特定の病気やウイルスの大流行があった場合、治療や対応を指揮する行政の枠の中に、患者を最前線で治療している現場の医師たちと同じ医師国家試験の有資格者であり、臨床現場の苦労を知る医師免許保有者の職員がいれば、学術的なバックアップの面でも、医療者にとって大変心強い存在になろうかと思います。
 また、奈良は国内有数の観光地であり国内外から毎年大勢の方が訪れます。県民だけでなく観光客の安全と安心を確保する上でも、医療情報の拠点となる保健所は非常に重要な施設であります。行政に精通し、かつ患者を診察することもできる医師免許を持った医師が保健所にいることは医療関係者だけでなく住民にとっても大きな安心につながるのです。今年春から世界中で感染が報告されている新型インフルエンザは、我が国でも秋口から本格的な流行が始まりました。本県におきましても、全国的傾向と同じく若年層、特に10歳以下の小学生を中心に学齢期の児童、生徒の間で感染が広がっており、小児科を標榜している医療機関は患者であふれ返っている状態です。現場で患者の治療に当たっておられます医療関係者の皆様、また対策に携わる行政関係者の皆様もご多忙を極めておられると思います。日々のご尽力に心から感謝を申し上げる次第です。
 新型インフルエンザについては、当初恐れられていた強毒性はなく弱毒性ということで、感染者が報告され始めた春先と比較しますと、国民も冷静に受け止める感はありますが、やはり「新型」の感染症、すなわち今までにない未知の病気であることには変わりなく、死者も報告されていることから、国民はこの病気に関する情報については非常に敏感になっています。そんな中、10月に報道機関から新型インフルエンザワクチンの接種情報に関する報道がなされ、各地の医療機関には地域住民からの問い合わせが殺到しました。奈良県下には郡山、桜井、葛城、吉野、内吉野の5つの保健所がありますが、現在それぞれの保健所に医師免許を保有している職員は何名いるのでしょうか。またこの十年、O157による食中毒、ノロウイルス、SARSなど、新しい感染症が大きく話題になりました。これらの感染症が流行したとき、県の保健所の体制はどうだったのでしょうか。保健所の医師免許保有の職員数は当時からどのように変化したのか、この十年間、平成11年度から今年度まで、県内すべての保健所の合算で結構ですので、毎年度、奈良県の保健所全体に何人の医師免許保有職員がいたのかをお教えください。
 私がなぜこんなことをお聞きするかと言いますと、平成17年に、それまで県内保健所の職員として熱意を持って働いていた若い医師たちの退職が相次ぎ、馴染みのあった職員がいなくなったとの声を医師たちの間から聞いたからです。同時期に退職をしている医師のその後を調べますと、退職した医師は地域で臨床医として働いたり、大学で指導したり、それぞれ新たに活躍されているようですが、中には他県で行政の指揮官としてトップに立ち、新型インフルエンザ対策の最前線で活躍されている方もいます。退職の背景にはそれぞれの職員の事情もあったかと思いますが、ある時期に長年勤めた医師たちが、それもまだ30代、40代の若い医師たちが職場を一斉に離れるのは不自然ではないでしょうか。いったい何があったのでしょうか。この経緯について、健康安全局長にお伺いいたします。県に愛着を持ち、県の医療行政に熱意を持って長年働いてきた職員を失ったことは、県民にとっても大きな損出であり、感染症に対する危機管理の上でも大変なダメージであると思います。医療者の目で、現場の目線で、医療行政を組み立てて、医師の行政職員は非常に大切な存在だと私は考えます。
 今現在、県内保健所に勤務する医師の正確な数、平成11年度から今年度までの年度ごとの医師職員数、保健所医師の退職の経緯についてお答えをお願いします。そして今後の県民の安心と安全を守るための保健所機能の基本方針についてもあわせてお教えください。人間が生きていく以上、これからも未知の病気との闘いが続くことと思います。皆さんの努力が実り、奈良県下の感染症対策がより強固なものになりますよう心から願っております。


■健康安全局長の答弁


 新型インフルエンザワクチンの供給は、国が製造販売業者から一括買い上げをし、卸業者を通じてワクチンを接種する医療機関に対して販売するシステムでございます。ただし、限りあるワクチンを円滑に接種するために、県が各医療機関への販売数量を設定しているところでございます。具体的には、医療機関へのワクチン配布の流れでございますけど、国が定めた接種スケジュールに基づきまして、優先対象者が医療機関に接種の予約を行います。その予約に基づきまして必要なワクチン量を優先順位ごとに、医療機関は県の医師会を通じて県に対して申し込みを行っております。
 一方では、国は県に対して県ごとの配布量を通知しておりまして、県は国から配布された数量の中で優先順位を踏まえて個々の医療機関に対する配布量を決定しております。県は、医療機関に配布量を通知するとともに、卸業者に医療機関に対するワクチン配布を依頼すると、このような手順で行われるのが実情でございます。
 今回のワクチン接種事業を開始するに当たりまして、事前に市町村、県医師会、病院等に対して説明会を開催し、準備を進めてきたところでございます。接種のスケジュール等の変更がたびたびございましたが、そのたびに説明会を開催するなど、連絡、連携を図っているところでございます。本県のワクチンの供給量についてお尋ねがございましたが、11月末までに約9万6千回分が配布されております。
 今後12月中に11万6千回分、1月から3月末までに32万6千回分、合計53万8千回分が供給される見込みとなってございます。ただ、現時点では国からのワクチンの配布量が十分ではなく、各医療機関からの申し込みのあった必要数量を供給できないために、接種希望者や各医療機関にご迷惑をかけているのが現状でございます。県では、最低限供給できる量をあらかじめ医療機関にお示しするなど、少しでも医療機関での混乱が生じないように工夫はしておるところでございます。
 また、ワクチンの接種スケジュールや供給見込み量をあらかじめホームページで掲載するなど、情報提供にも努めているところございます。一方、治療薬の件についても備蓄量についてお尋ねがございました。現在のところ、本年10月末現在で、タミフルは16万9千人分、リレンザは4千人分で、計17万3千人分の備蓄がございます。ただ、リレンザについては、来年2月にさらに7万4千人分を備蓄する予定であり、合計24万7千人分の備蓄となる見込みでございます。また、県以外にも国において備蓄がございまして、治療薬の必要量は現在確保できているというふうに認識しております。

 

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