議会報告ASSEMBLY REPORT

2013.09.25 カテゴリ:平成25年9月定例会 吉野三町の都市計画における、いわゆる「線引き」の問題について

吉野三町の人口減少は深刻であり、吉野町と下市町は過疎地域に指定されているが、都市計画における「線引き」や近畿圏整備法による近郊整備区域の指定が吉野三町の発展の支障となっている問題について、県の見解と今後の対応を伺いたい。

 

 

 吉野三町の都市計画における、いわゆる「線引き」の問題についておうかがいいたします。
 吉野町、大淀町、下市町の吉野三町は都市計画法に基づいて昭和48年12月に「吉野三町都市計画区域」として指定され、昭和53年には近畿圏整備法の「近郊整備区域」に指定されました。
 その後、昭和59年1月に最初の市街化区域と市街化調整区域との区分、いわゆる「線引き」が行われ、その後、平成2年に第1回目の線引きの見直し、平成13年に第2回線引きの見直しが行われましたが、平成16~17年の都市計画基礎調査の実施を踏まえた第3回の定期見直しは人口減少が著しいなどの理由から見送られました。

 

 吉野三町の人口減少は本当に深刻で、私の地元であります吉野町では、最初の線引きが行われた直後の昭和60年には14,500人あった人口が、平成22年には9,100人と、この25年間に37%も減少しております。
 しかも第1回目の線引き見直しが行われた平成2年、この時点で吉野町と下市町は過疎地域活性化特別措置法によって「過疎地域」に指定されました。
 すでにこの頃から地域の活力が低下し始めていたということになりますが、それから20数年経過した今も、吉野三町では「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分され、第三回目の見直しは見送られたとはいえ、線引きそのものは今も継続されています。

 

 平成12年に改正された都市計画法7条では、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、必要があるときは都市計画区域に市街化区域と市街化調整区域との区分、「線引き」を定めることが出来ると規定されています。これは、線引きをするか否かをその地域において選択することが出来るということです。
 しかしながら、同法の但し書きにより近畿圏整備法の「近郊整備区域」においては、「区域区分」を定めるものとするとされており、大和都市計画区域並びに吉野三町都市計画区域は、但し書きの規定により区域区分を定めなければならない地域となっています。
 この「近郊整備区域」とは、京阪神都市圏の市街地の無秩序な拡大を防止するため、計画的に市街地として整備する必要がある区域として指定されたもので、京阪神都市圏からの都市圧力を受ける地域が指定されるものです。
 しかし、現在の吉野三町はそのような地域でしょうか。そのような状況でしょうか。

 

 冒頭で申し上げましたとおり、吉野三町がこの指定を受けたのは昭和53年、今から35年も前です。当時は都市部からの人口流入もあり、またベビーブーム後で子供の数も多く、市街化にともなう計画的な区域整備は重要な作業でした。
 ところが時の流れと共に状況は大きく変化し、人口は流入するどころか逆に都市部への流出が進み、労働力人口の減少で基盤産業も衰退し、都市化ではなく過疎化が急速に進んでいます。このような状況にありながら、いまだに市街化区域と市街化調整区域の「線引き」が法律によって義務付けられているのです。
 しかも吉野三町都市計画区域では、大和都市計画区域の約81%を上回る約92%の区域が市街化調整区域になっており、開発や建築が制限されています。つまり、過疎にあえいでいながら、なんと9割もの区域で市街化が規制されているのです。

 

 ところで、お隣の和歌山県橋本市はこの近畿圏整備法の「近郊整備区域」に指定されていないため、都市計画において「線引き」は義務付けられていません。ご承知の通り、橋本市は大阪のベッドタウンとしても発展を続け、新たなマンションが建設されるなど現在も都市化が進んでおり、非常に活気のある街です。
 一方、人口流出が止まらず、20数年前にすでに「過疎地域」に指定されている吉野町において、「線引き」が義務付けられ開発が抑制されているという現実はあまりにも歪ではないでしょうか。
 地域の活性化を図ろうにも調整区域であるがゆえに数々の規制があり、豊かな自然の中で暮らしたいと考える都市住民の転入や、自宅に併設した工房での創作活動など小規模な事業所の開設なども妨げられている現実は皮肉としか言いようがありません。
 そもそも、経済状況も住民のライフスタイルも大きく変わっている中、30年以上も前の基準をそのまま地域開発の基盤にしていることにも大きな疑問を感じます。吉野三町のような地域が指定を受けていること自体、法律本来の主旨からも、もはや意味をなさないものになっているのではないでしょうか。

 

 吉野町では、一人でも定住者を増やしたいとの切実な思いから、平成24年度より「吉野町定住促進新築住宅補助事業」を創設し、吉野町の住宅を新築する住民に対して200万円を補助するといった血のにじむような取り組みも開始されました。大淀町・下市町においても、同じ思いで多様な取り組みが実施されています。
 過疎化を食い止めるためには、一つでも障害や規制を少なくしたいのが吉野三町住民すべての願いです。住民も行政も日夜知恵を絞っています。私はこの地域選出の議員として、町をあげてのこれらの努力を無駄にしたくありません。
 そのためにも、私は吉野三町都市計画区域を、和歌山県橋本市のように線引きのない「非線引き都市計画区域」に移行すべく、近畿圏近郊整備区域の指定をすみやかに解除すべきであると考えます。

 

 近郊整備区域の指定を受けていない地域、たとえば香川県高松市や岡山県笠岡市などでは、区域区分を廃止して「未線引き都市計画区域」へと移行しています。岡山県笠岡市では都市計画の中での線引きの意義や弊害などについて、住民の意見を聞きながら市をあげて取り組みを進め、平成21年4月に線引き廃止を実現しました。
 奈良県でも、平成23年5月に定めた「奈良県都市計画区域マスタープラン 第3章 区域区分の決定の有無及び区域区分の方針」において、吉野三町都市計画区域は、吉野町・下市町が過疎地域に指定されていることや、国における大都市圏制度及び都市計画制度の見直しの動向を踏まえ、「区域区分を必要とする状況がなくなったと判断される場合には、区域区分の有無を見直す」としております。
 また、県においては、すでに現実と大きく乖離している「近畿圏近郊整備区域」から吉野三町を外せないか国に打診をしていると聞いていますが、さらに強力な働きかけを行っていただきたいと切に要望いたします。

 

 私はこの場に立たせていただくたびに、県南部の過疎化対策や地域活性化に対する取り組みを訴えてまいりました。財政状況が疲弊している中での課題解決、その難しさについては私も日々切実に感じているところです。しかし、行政の決断一つで大きく変えられることについては、どうか力強い一歩を踏み出していただきたいと思います。

 

 早急な指定解除をこの場で強く訴えさせていただくとともに、「線引き」や近郊整備区域が吉野三町の発展の支障になっているというこの問題について、県のご見解と今後の対応を知事にお伺いします。

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