議会報告ASSEMBLY REPORT

2007.12.10 カテゴリ:平成19年9月定例会 林業・木材産業の振興について

 奈良県の林業は、500年の歴史を持つ吉野林業を筆頭に、優良材を生産することで名をはせ、奈良県の発展に大いに寄与してきたところです。しかし、近年の農山村における過疎化の進展は、林業従事者の高齢化や後継者の不足を生じさせ、その結果、林業を衰退させ、山林を荒廃させたのです。また、バブル崩壊以降、木材単価は徐々に下落し、平成10年の台風7号における山林被害が木材単価の下落をさらに進行させ、今日の林業・木材産業の不況となってあらわれているのであります。60年間手塩にかけて育てた杉が世界一安いという現実を直視し、なぜこのような状況になってしまったのかを検証する必要があると考えます。
 1960年に木材輸入が自由化され、関税ゼロの安い外材が大量に輸入されましたが、1960年から1965年の間、相次ぐ台風の被害により災害復興住宅が増加し、外材に頼らなければ需要にこたえられない状況のもと、国産材価格はピークに達したのであります。しかし、そのとき我が国の林業・木材産業は、木材の乾燥への対応、努力を怠ってしまったのであります。その後、1985年にプラザ合意、続いて日米林産物MOSS協議が行われ、これにより国産材より外材が多く使われるようになったと言われておりますが、実際は日本では戦後植林した材が若齢林であったことや、先ほど述べましたとおり、木材の乾燥への対応ができていなかったために、大手メーカーが高くて非乾燥で安定的に大量供給できない国産材を避け、北米や北欧の長伐期地帯から安定して乾燥した材を大量に輸入したこと、これが最大の原因であると考えております。この教訓を念頭において、これからの林業・木材産業の振興策を考えていかなければならないと考えます。
 本県では、他県に比べて長伐期施業を行い、良質材を算出しているので、これをより推進し、適切に間伐を行いながら、安定供給できるシステムを構築しなければなりません。そのためには、奈良県の急峻な地形や地質に合った高密度の作業道の整備が必要であり、山の地質状況を把握できる技術者の養成も必要となってきています。また、地域の林業を活性化させるためには、森林組合の意識改革が必要であり、これまでの公共事業中心から民有林整備に事業転換を図る必要があります。その成功例が京都府の日吉森林組合であり、そこでは普通の企業が行っている経営上の基本を実行しているだけで成果を上げているのです。民有林の整備を真剣に行おうとする森林組合にはサポートが不可欠で、手厚い補助も必要であると考えます。さらに、木材価格の安定と安定的な需要を確保することが林業・木材産業の最大の課題でありますが、価格の安定は品質のよしあしにかかっています。
木材の乾燥を怠ったことが今日の低迷を招いた。その反省に立って、木材の乾燥を徹底しなければならないと考えます。その際留意しなければならないのは、乾燥機械の大半が化石燃料によるものであり、化石燃料に頼っていては、森林の健全化、地球温暖化防止に役立たないということであります。そこで、木質バイオマスエネルギーによる乾燥を推進することが必要であります。
 我が国の森林の総蓄積量は40億立方メートルを超え、年間推定成長量も1億立方メートルに達しており、これは木材の国内消費量に匹敵するほどの量であります。しかし、平成17年の国産木材自給率は7年ぶりに2割を回復した程度にすぎず、山で木が伐採されても市場に出てくるのは根元部分の太い1番玉だけ、あとは全部山に捨てられているという状況が続いております。さらに今後、手入れ不測で過密になった人工林の間伐を計画的に実施することになれば、ここから膨大な量の木質バイオマスが発生します。このバイオマスのエネルギー利用は、森林の健全化、地球温暖化防止、地球経済振興の面でも、また京都議定書における二酸化炭素排出量削減目標を達成させるためにも、極めて重要であり、地域の資源を地域で使うということ、そのシステムを構築することが大切であります。
そのためには、知事のぶれない指導力と県庁部局間の縦割りでない横断的で連携した取り組みが必要ではないかと思います。
 石油、ガスのかわりに森という形態でエネルギーを蓄える。将来のエネルギー確保には、水力、原子力、化石燃料、バイオマス、すべてを組み合わせた形態が最良ではないかと思われます。経済的で環境にやさしく、森を損なわない持続的な原料は大いに活用すべきであり、最も重要なことは、バイオマスを用いることで1つの資源に依存することが避けられるということであります。このような意識、教育ソフト面での環境教育の充実も重要であり、県民の皆様のご理解を得られるということであります。このような意識、教育のソフト面での環境教育の充実も重要であり、県民の皆様のご理解を得られるよう努力すべきであると考えます。
 これまで述べてきたことを実現するには、木材の生産・加工・流通システム全体の変革が要求されます。まず、建築用材、パルプ用材、燃料用バイオマスなどの木材原料を山から一体として収穫、搬出するシステムを確立することが必要です。零細な森林所有者の境界を越えて、間伐などの山での作業ロットを出来るだけ大きくして、機械類の効率的な導入を図る。自分の森林を管理できない所有者が急増しており、この面からも、さまざまな図書勇者の森林をある程度地域的にまとめて間伐するなど、組織的に実行することが不可欠であると考えます。また、木質材料の段階的利用が徹底できるよう、林産物の統合と集約を推し進めなければなりません。例えば、最良の材は建築用の無垢材として出荷して、欠陥のあるものは集成材などに加工して付加価値を高め、残った廃材で電気と熱を生産して木材の加工や乾燥用のエネルギーに振り分ける。こうした一環システムは林産業の統合と集約化によって実現されるのです。
 そこで、知事にお尋ねします。本県のこれからの林業・木材産業の振興策として、以上述べましたとおり、川上側では森林組合の強化と高密度の作業道の整備、川下側では原木市場、加工工場などの統合・集約化による大規模木材チェーン化が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

 

■荒井知事の回答

 議員の豊富な経験と情報に基づきまして、いろんな有益なご指摘がございまして、大いに参考になるご指摘でございます。特に、産業・流通・販売を一本化して考えないかん。あるいは、木材の輪切り販売といいますか、下のほう、真ん中、上とこういうふうに有効利用を考えて販売せないかん。あるいは、木材乾燥のための化石燃料を脱皮してバイオ燃料にどうかと、いろいろ具体的なご指摘もございました。県の取り組みに大いに参考にさせていただきたいと思いますが、現在までの取り組みと県の考え方をご説明申し上げたいと思います。
 本県の林業・木材産業の振興には、議員ご指摘のように、着実な森林整備の推進と、木材の安定供給体制設備が必要でございます。議員のご指摘の点もございます。川上側におきましては、森林組合の広域合併によりみずからの経営基盤を強化し、合併した中核的な森林組合を中心として、森林所有者にかわって森林を管理し、間伐などの作業の集約化を図り、効率的な森林経営を行っていただくのが肝要だと思います。また、木材の効率的、安定的な供給を図るためにも、質材のロットを確保することが重要でありまして、集団的な作業システムを推進することが必要だと認識しております。さらに、国産材の産地間競争に対応する視点から、生産コストの低減は奈良県において特に急務でございますが、それに資する観点から、基盤整備として、従前からの林業・作業道整備に加え、本年度の6月補正予算により伐採から搬出までの生産コストを考慮した低コスト作業道持てる事業という名称で、6地区の搬出の効率化のシステムを県として実行しております。また、森林所有者の経営意欲の減退から放置人工林が増加していることは、ご指摘のとおりでございますが、県においては、森林の持つ、公益的機能、また、森にエネルギーを蓄えるという表現を議員はされましたが、間伐をはじめとする森林整備に取り組むとともに、資源の有効利用を図る観点から、木質バイオマス燃料の木材乾燥の場における利活用などに向けた研究を進めているところでございます。
 川下側でございますが、近年の林業・木材産業の不況から、市場、製材所等が廃業・縮小しているのは、ご指摘にもありました事態でございますが、その実態から考えますと、現時点で統合・集約化を図るというような経済的条件については厳しい環境にあるというふうに思いますが、ユーザーが求める品質と安定したロットの確保は必要でございますので、県森林組合連合会や県木材協同組合連合会が売れる県産材づくりを目標に設立いたしました地域材認証センターの登録企業による一貫生産体制が開始されておりまして、県としても民間企業出身の林材流通担当の農林部理事を設置いたしております。私から言うのもなにですが、なかなか活躍して、大変厳しいことを現場で言っておられるように聞いておりますが、1つの大きな刺激剤になっていると思います。そのようないろんな活動を通じて、販路拡大や業界に対する指導・助言に努めておりますが、いろいろご指摘の点も参考にしながら、今後とも積極的に取組んでいきたいと思っております。
 いずれにしましても、川上、川下が一体となった県産木材の安定供給体制の構築が急務でございます。県のできる役割をいろいろ模索しながら、関係機関と連携協力を進めて、林業・木材産業の振興に努めていきたいというふうに思っております。中南和・東部の振興計画の中でも大きな分野を占める課題だというふうに考えております。

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