議会報告ASSEMBLY REPORT

2016.01.13 カテゴリ:平成27年12月定例会 本県経済の活性化について(2)

私がプレミアム商品券は地域の商店活性化のためにも大切な施策であると考えている事は、先にも述べましたが、これは消費の活性化を促すためのものであり、その消費を行うためには、まず消費する県民の懐が豊かでなければなりません。お金がないのにお金を使えという状況では消費マインドの拡大は起こりません。

経済対策というのであれば、その部分に対する視点を持って、プレミアム商品券の制度を運営していかなければならないと考えます。
ご承知の通り、県民所得の増減率は減少を続けています。県の統計課が平成27年1月22日に公表した「平成24年度県民経済計算」の資料を見ますと、平成24年度における人口一人当たり国民所得を100とした人口1人当たり県民所得の水準は86.9%と全国を10ポイント以上下回っています。平成14年度では100.2%と、むしろ全国より少し高い水準にあったわけですから、この10年間で県民所得の水準は大きく後退したことになります。また人口1人当たりの県民雇用者報酬という数字で見ましても、対平成14年度比でマイナス17%、人口1人当たりの企業所得もマイナス18.5%と大きく減少しています。私はこれらの数字を見て、県の経済が冷え切っているとはまさにこのことであると思いました。

これは平成24年度の実績ですので、アベノミクス効果が言われたこの2年間の数字ではありませんが、平成14年はリーマンショック以前とはいえ、まだまだバブル崩壊の影響が残り、日本経済全体が浮上できない時期で、それほど好景気だったわけではありません。
その時点からこれだけの減少というのは、この10年で県内経済がいかに大きく沈んでしまったかという証拠であると思いますし、特に企業所得の大きな減少を私たちは深刻にとらえなければならないと思います。

企業の活性化と言う点では、特に中小企業対策は国も力を入れており、経済産業省、中小企業庁から補助金も豊富に用意されていますし、自治体単位でも様々な支援が行われています。

私はこれらも非常に有効な手段かとは思いますが、奈良県全体の企業活動が低迷している中では、企業それぞれの経営状況の改善だけでなく、全体の底上が必要なのではないかと考えます。

かつて地域経済の活性化という点では、企業誘致、工場誘致がよく言われましたが、リーマンショック以降は企業倒産が増え、展開していた工場を閉鎖・撤退する企業も多くりました。そうなりますと、その地域で働いていた人たちがいなくなり、空き住宅が増え、工場の跡地についても次の利用が決まらず、誘致以前よりも地域が疲弊するケースもあります。

現在は少子高齢化が進み、労働者数も減少しています。高度成長期からバブル経済のころまでの日本のように、人の数による力、マンパワーは期待できない時代になりました。今後は新たな企業を呼び込んだり、企業誘致に伴う労働力の流入を期待するよりも、今、奈良県に軸足を置いている企業がこれからも奈良で活動を続けてくれること、今、奈良で働いている人がこれからも奈良で働いていこうと考えてくれること、奈良に根を張って活動しようとする企業や人をしっかりと支える施策が必要だと考えます。

私の地元の吉野郡は、昔から林業や製材業、割り箸の製造がおこなわれてきましたが、木材に関する作業は森林資源が豊かな吉野郡だからこそ行えるものです。地場産業はどこでもそうですが、地域の特性と深く結びついています。

県内には、地場産業以外にも、日本を代表する企業の工場や事業所があります。これらの会社の本社が奈良以外の地域にある場合、先ほども申し上げましたが、経営状態が悪化すれば工場の閉鎖や事業所の撤退という事態に陥る可能性があります。そうなると地域経済に及ぶ影響は甚大なものになってしまいます。

縁あって奈良に来ていただいた工場や事業所です。もちろんその会社の経営状態が悪くならないことが一番ですが、今、奈良で活動している企業が、奈良だからこそできること、奈良に事業所を設けてよかったと感じてもらえるようにすることも重要ではないでしょうか。

新たに企業に来ていただくことも非常にありがたいことだと思います。しかし、もう時代は変わっています。平成23年度の奈良県の実質経済成長率は、全国第 43 位とのことですが、ここまで低下してしまった奈良県の経済力を私は何とかして底上げしていきたいと思っています。

そこで知事にお伺いします。奈良で頑張っている企業が奈良に根を張り、奈良から利益を生み出し、日本全体の経済活性化に寄与していけるようになれば、こんな素晴らしいことはありません。県内企業の育成・支援をどのように展開し、今後の本県経済を活性化していこうと考えているのか、お考えをお聞かせ頂きたいと思います。

 

(知事答弁)

県民所得の低下のことについてご指摘になりました。奈良県の県民所得の要素でございますが、これはどの県でも同じでございますが、一つ目は県民の給与所得、二つ目は県内の企業の所得、三つ目は県民の財産所得の三つから構成されております。奈良県では、県民の給与所得の比重が大きいのが特徴でございますが、それに全体として大変低迷の傾向が出ております。これには大阪通勤者で、大阪の給与所得が多い奈良県に対しまして、大阪の経済力が低下した場合に、奈良県民の給与所得に直接的な打撃があるという点、また奈良の法人企業所得におきましては、奈良県の企業の大宗、大きな位置を占めておりました関西の大手家電メーカーの低迷が大きく影響している、とりわけ製造業の分野で大きく影響しているようにも感じます。三つ目の財産所得でございますが、これは本県は、お金持ちの方が多いわけでございますが、株などが高騰しておりますと、これについては量は少ないけれども好調であるのではなかろうかと推察をしているところでございます。

本県経済を構造的に活性化させるためには、県外通勤による県民所得に頼ることを主としないで、県内企業の企業所得の活性化が必要かと思います。企業誘致とともに、県内企業の99%を占め、地域に地盤を持ちながら事業活動を進める中小企業を強くすることが大きな課題であると考えています。大企業に依存しますと、大企業は大変所得・景気が振れるのが、今申し上げた点でございます。県内中小企業の振興を図り、出稼ぎ県とも言える本県の体質から内発的経済力が発生する県に変えるため、経済構造そのものを力強いものに改革していく必要があると感じております。

そのやり方でございますが、本県では、9つの産業分野にターゲットを絞った産業興しのプロジェクトに取り組んでおります。この9つの産業分野の奈良県産業全体におけるシェアでございますが、従業員数で約6割、売上で約4割にのぼっております。これらの産業分野をさらに元気にしようという取組でございます。

その中の産業興しの方向でございますが、中小企業でございましても、グローバルニッチトップといえるような企業もありますし、地域密着型で地元顧客を中心に商売をされている企業もあり極端に分かれるものでございます。それぞれに対応した経営体質の強化の手法をとることが必要だと考えています。

まず、グローバルニッチトップを目指されるような、より高いところを目指して飛躍しようとする意欲の旺盛な中小企業には、三つの切り口でご支援申し上げたいと思っております。一つは海外への進出支援、二つには新事業展開の支援、三つには高付加価値の獲得支援、ということでございます。第一の海外への進出支援では、ジェトロの相談窓口を県内に誘致するなど、県内企業の海外志向が高まるような取組を進めております。第二の新事業展開では、クラウドファンディングを活用した資金調達を通じた顧客獲得の取組支援などを進めております。第三の高付加価値の獲得では、ニッチでも高い技術力をもつ企業の研究開発を、今年度中に定める「奈良県産業振興総合センター中期研究開発方針」に基づきまして、県が先頭に立って引っ張ることで、ご支援を申し上げたいと思います。

次に二つ目のタイプの県内中小企業でございますが、地域密着型の中小企業に対しては、従来のOEMだとか下請けに甘んじようという下請文化中心から、自社ブランドで勝負しようという企業文化に転換していただきたいと考えております。自社ブランドの製造・販売でブランド力を強化し、高い付加価値を獲得していただくことを基本に、ご支援していきたいと考えています。
すでに、こうした県の施策を積極的に活用して、例えば海外への進出では、イタリアのミラノに奈良の食の販売拠点を立ち上げようとする取組や、ブランド力の強化では、奈良の代表的な地場産業である靴下や素麺のブランド力の向上を業界一丸となって取り組もうとする試みも始まっており、少しずつですが、県のイニシアチブに対しましての手応えを感じつつあります。
また議員のご関心が高い林業分野の産業興しにも力を入れており、これまで高級材だけを出荷していましたが、これからは全ての用材を多用途に供給する林業、山に木の端くれを残さないということでございますが、素材生産から流通・販売まで、一貫した縦型の体制を県内で確立する取組も進めております。引き続き、こうした産業興しの取組を強力に進め、たとえ規模が小さくても、奈良に根を張って、奈良で利益を生み出すぞ、という気迫のある力強い魅力のある企業を増加させ、奈良県における力強い経済の実現を目指していきたいと思っております。

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