議会報告ASSEMBLY REPORT

2016.01.13 カテゴリ:平成27年12月定例会 攻めの農林業について(1)

次に、攻めの農林業について、知事にお伺いいたします。

この10月15日に政府が環太平洋経済連携協定、いわゆるTPP交渉において日本、アメリカを含む参加12カ国で大筋合意したことを発表し、このことが新聞やテレビ等で大きく報じられました。

その後、この大筋合意を受けて、農林水産省において米や野菜、牛肉などの各品目ごとの影響分析について順次発表されておりますが、その影響については、限定的であるとの見通しを示しています。

また、林業の分野では、既に昭和39年に木材輸入について全面自由化されている状況にあり、今回、合板などの加工品の関税率に関する合意が決定しています。農林水産省の情報によると、合意された輸入品目の中で特に影響の出そうな品目、たとえば合板や集成材には「セーフガード」の発動が適用され、輸入量が発動水準に達した場合に、自動的に発効前の関税率に引き上げられるなど、国内の林業・木材産業の事業者に与える影響を極力少なくする措置が講じられるとのことです。

このような状況の中、共同通信社がまとめた全国自治体アンケートによりますと、北海道や東北、九州といった農林業が盛んな地域では、かなり反発が目立ち、1次産業からの離職や後継者不足に拍車をかけ、自治体崩壊や地域経済の衰退につながりかねないとの懸念のほか、しいては政府が掲げる地方創生に逆行するといった意見も出ております。

確かに、未だ関税の引き下げや輸入枠の拡大による影響は未知数な部分が多いようですが、県内の農・林業家への影響も避けられないと思われます。また、畜産業についても、家畜の購入価格や、飼料価格の高騰などで、今後の経営に不安の声を口にする農家があると聞いていますし、現在でもTPPそのものに反対の声明を出している農業者団体もあります。林業の「セーフガード」にしても、この措置が発動される事態になったときの林業はどのような状況になっているのか、またこの措置自体が一体どれぐらいの効果を発揮するのか、私自身も想像がつきませんし、そのような分析も見当たりません。私自身も不安がないと言えばうそになります。

しかし、私は貿易の自由化は世界の潮流であると考え、むしろ、このTPP合意を好機として捉え、農林業においても積極的に打って出る施策を展開すべきであると考えております。もう一度自分たちの戦略を見直し、今後どのようにマーケティングを広げていくかを考える大きなチャンスでもあり、新たな競争の中で商品力を向上させることで、世界に日本の農林産物の優秀さをアピールすることにもつながります。世界をターゲットにした市場拡大へのステップとして前向きに考えたいと思っています。

国でも、11月25日に安倍首相を本部長とする「TPP総合対策本部」の会合を開き、農林水産物と食品の輸出額を1兆円にする目標を前倒しして達成することや農家の保護策などを盛り込んだ「総合的なTPP関連政策大綱」が決定されました。現在、この内容が平成27年度補正予算にも反映するように調整されているところであり、この国の補正予算についても積極的に活用して頂きたいと考えます。

そこで、知事にお伺いします。農・林産物等のブランド化による高付加価値化を進め、輸出拡大に積極的に取り組むことで「攻めの農・林業」を展開すべきと考えますが、知事のお考えはいかかでしょうか。

 

(知事答弁)

私は、TPPの大筋合意について、従来から賛成の立場をとってきております。議員お述べのとおり、これを好機としてとらえ、内向き志向であった日本の農林業を転換し、輸出拡大など積極的に攻めの農業・林業を展開していくべきと確信しております。そのための好機ととらえております。ピンチでありますが、チャンスでもあると思っております。そのためには、本県のような小さな農業県も海外で勝負できるような農産物づくりに力を入れ、良い品質のものを安全に提供することを考えております。安さの追求ではなく、マーケットの中での存在が輝けば海外でも展開が可能と考えます。高付加価値、高い値段で売れるものをつくろうということでございます。 これまで、農業の生産段階の取組みとしては、品目を絞り込んで、柿、茶、イチゴなどリーディング品目の産地競争力の強化や大和野菜、イチジクなどチャレンジ品目の生産拡大に取組んで参りました。今後は、新たなブランド認証制度を確立し、商品力をより一層高めて参りたいと考えております。また、海外への販路開拓でございますが、県内農業者に対するアンケート調査によるニーズの把握、8月に香港で開催された、アジア最大級の食品展示会FOODEXPO(フードエクスポ)での実態調査、EUなどの厳しい農薬残留基準に適応できる大和茶の生産方法についての検討などを進めております。今後は、意欲のある県内農業者に海外見本市への出展を呼びかけ、商談機会を提供したいと考えております。併せて、海外のマーケットに精通したジェトロとも密に連携を図り、農業者からの相談にも対応するとともに、ターゲットを特定するための情報収集に努めて参りたいと思います。一方、林業・木材産業でございますが、これまでも外国産材との競争にさらされるなど厳しい状況が続いています。このため、本県では、本年7月に「奈良県林業・木材産業振興プラン」を策定し、川上、川中、川下での取組を進めており、この中に海外への販路開拓についても盛り込んでいるところです。具体的には、今年度、中国、韓国、台湾でのマーケットリサーチに取り組むとともに、欧州での大規模見本市への出展を支援したいと思います。今後も海外販路拡大に向けた情報収集や、意欲のある事業者の掘り起こしなどの取組を積極的に行い、販路開拓に繋げていきたいと思っています。

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